検索のTED紹介:インターネット検索結果に隠れた道徳的価値観

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スウェーデンの文筆家でジャーナリストのアンドレアス・エクストロームが公正な検索結果について語っていたのでメモとして以下に記す。

学校で生徒たちに「なぜGoogle検索をするの?なぜGoogle検索エンジンしか選ばないの?」と聞くと不思議と返ってくるのはこの3つの返答「うまく検索できるから」・「ほかの検索エンジンを知らないから」・「Googleを使うと絶対に常に最高で公正な検索結果が得られるから」である。最後の返答に関して…公正な検索結果などない。
Googleの検索を使うときには場合が2種類ある。事実を検索するときと知識を検索するときだ。事実(例えばフランスの首都はどこか?など)は世界で共通して答えが一致している。しかし、知識(例えばなぜパレスチナ問題が起こっているのか?など)は事実とは違いはるかに複雑で繊細なものである。知識を得るには多数の事実を入手し、そこから自分の価値観などに基づいて考え、議論などをし初めて真の知識を得る。
検索で真に純粋で客観的な知識を得るのがいかに難しいのかいくつか例を紹介する。Googleで「ミシェル・オバマ(オバマ大統領の妻)」 と画像検索するとミシェル・オバマの画像が並ぶ。Googleは写真のキャプションおよびアップロードされた写真のファイル名をみる。2009年、ミシェル・オバマに人種差別攻撃の矛先が向き検索結果を通じて侮辱されたことが起こった。彼女の顔が猿のように歪められた写真がインターネット上に出回り、そしてキャプションにミシェル・オバマとかかれ、写真のファイル名はMichelleObama.jpegとされた。これによって、当時「ミシェル・オバマ」と検索すると先程の侮辱された画像が検索結果の上位にでてきてしまうことが起こった。このとき、Googleは黙っていなかった。Googleはこの自体を人種差別的で悪い検索結果であり、自らの手でプログラムを書いてきちんと修正しようと考え、実際にそうした。
もう1つ例を紹介する。2011年7月22日にアンネシュ・ベーリング・ブレイビクがノルウェー連続テロ事件を起こした。このとき、 スウェーデンSEOの専門家のニック(https://twitter.com/nikkelin)はブログやSNSを通じて小さな抗議運動と次のことをやるよう呼びかけた。インターネットで犬の糞の画像を探し出してきて、そのキャプションに犯人の名前を書き、ファイル名も犯人の名前にしよう、と。Googleにこれが犯人の名前だと覚えさそう、と。これは効果てきめんであった。事実2011年7月22日の事件以降数週間、スウェーデンで犯人の名前を画像検索すると犬の糞の画像が検索結果の上位にでてくるようになった。このとき、Googleはミシェル・オバマのときと違い介入してこなかった。ミシェル・オバマノルウェー連続テロ事件の例では、やっていることは同じだったがGoogleは片方には介入し、もう片方には介入してこなかった。これの判断は誰がする?人間である。Googleアルゴリズムの裏にも必ず人間がいるのだ。このメッセージをGoogleだけではなくプログラムに信頼を寄せる世界中のすべての人に伝えたい。自らの偏見をしっかり認識し人間であることを自覚し責任を持たなければいけない。公正な検索結果などは神話にすぎないと心にとめるべきである。